離婚したら子供の名前はどうなるのでしょうか?【子の氏の変更許可】
離婚・男女問題浮気、不倫があり、離婚をするとの決断に至った場合には、養育費、面会交流など子どもに対することも様々なことを考えなければなりません。
その中で、離婚をしたら子どもの氏はどのようになるのでしょうか。
当然に、親権者の名前になるのかというと実はそのようにはなっていません。
そこで、このコラムでは、離婚をした場合に子ども名前はどのように変わるのかについて解説させていただきます。
親権者となった方が復氏をしている場合などで、子が親御さんと氏を異にすることで不便がある場合には、子の氏の変更の申立てにより審判を受け、市区町村役場で変更の手続きを行っていくといったことがあり得るでしょう。
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離婚時の親権者の定めは戸籍に記載がなされる
不貞行為は民法770条1項1号の離婚原因にあたり、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれかの段階で離婚が認められる可能性があるものとなります。
いずれの場合でも、夫婦が離婚をする場合に、夫婦間の子どもがいるときには、その親権者を決めなければなりません。
そして、親権者が誰であるのかについては戸籍に記載がなされます。
戸籍には、身分事項にて
・【親権者を定められた日】として離婚の成立日
・【親権者】父 又は 母
といった記載がなされます。
身分事項
出生 親権 |
‥‥ 【親権者を定められた日】 令和3年12月15日 【親権者】母 |
離婚をした場合に、親の氏はどうなるのか。
ここでは、婚姻時に妻が夫の氏に変更した場合を想定してみましょう。
夫:A男 ====== 妻:A女(旧姓;B)
子; A太郎・A子
婚姻中は、夫の氏に合わせ夫Aを筆頭者として、戸籍が作られています。
そして、離婚をした場合には、妻:A女は、原則として、婚姻前の氏に復することとなりますので、旧姓:Bの戸籍に復することとなります(民法767条)
民法(離婚による復氏等)767条1項
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
(1)復氏により婚姻前の戸籍に戻る場合
⇒ ⅰ 婚姻前のBの戸籍に戻る(氏は、B)
この場合には、民法の原則によって、婚姻前の戸籍に復氏する場合となります。
(2)復氏により新しい戸籍が編製される
⇒ ⅱ 新しいBの戸籍を作る(氏は、B)
民法の原則により、婚姻前の戸籍に復氏する場合でも戻る戸籍がない場合など新しい戸籍が編製されることがあります。
戸籍法上は、筆頭者をはじめとして全員が既に死亡していた場合や新戸籍編纂等の理由で戸籍が除かれた場合、婚姻により氏を改めた者が離婚によって新戸籍の編纂の申出をした場合には、新しい戸籍が作られることとなります。
戸籍法19条 婚姻又は養子縁組によって氏を改めた者が、離婚、離縁又は婚姻若しくは縁組の取消によって、婚姻又は縁組前の氏に復するときは、婚姻又は縁組前の戸籍に入る。
但し、その戸籍が既に除かれているとき、又はその者が新戸籍編製の申出をしたときは、新戸籍を編製する。
(3)離婚の際に称していた氏を称する届を提出した場合
⇒ ⅲ 新しいAの戸籍を作る(氏は、A)
離婚によって婚姻前に氏に復した者は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるとことにより、届出をすることにより、離婚の際に称していた氏を称することができます(民法767条2項)。
婚氏続称として、離婚の際に称していた氏を称する届を提出した場合には、離婚時の氏にて新しい戸籍を作ることとなります。
民法767条2項 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
戸籍法77条の2 民法第767条第2項(…)の規定によって離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
離婚をした場合に子ども氏はどうなるのか
離婚により子どもの親権者が復氏を行う母親(又は父親)と決まった場合でも、当然に、戸籍上の移動があるわけではないため、家庭裁判所での手続きが必要となります
(1)復氏により婚姻前の戸籍に戻る場合 (氏:B)
⇒ 子どもの氏は、Aのままであるため、復氏をした親権者の氏に変更するためには、家庭裁判所の許可が必要となります。
(2)復氏により新しい戸籍が編製される場合 (氏:B)
⇒ 子どもの氏は、Aのままであるため、復氏をした親権者の氏に変更するためには、家庭裁判所の許可が必要となります。
(3)婚氏続称により新しい戸籍が編製される場合(氏;A)
⇒ 子ども氏はAであり、婚氏続称した氏もAであるため、表面的には氏は同じであるため、支障は生じにくいようにはなっていますが、従前のAの戸籍に残ったままとなっているため、復氏をした親権者の氏に変更するためには、家庭裁判所の許可が必要となります。
したがって、子ども氏については、離婚時に婚姻改姓をした者が親権者となった場合には氏が異なることとなりますので、氏の変更手続きを家庭裁判所で行うことが必要となります。
子の氏の変更許可の申立てについて
(1)家庭裁判所での審判手続
子どもが親権者となった母(又は父)の戸籍に入るためには、母(又は父)と同じ氏にしなければならないこととなっています。
そして、民法791条では、子が父または母と氏を異にする場合には、子は家庭裁判所の許可を得て、父または母の氏を称することができる旨の規定が設けられています。
離婚後に、子どもの氏が異なることとなった場合には、子の氏の変更手続きによって変更をしていくことになります。
子どもが15歳未満であるときには、法定代理人として、子の代わりに変更の手続きを行うことができます(民法791条3項)。
【申立人】
① 子
② 15歳未満のときには、法定代理人が子を代理することができます。
【申立先】
子の住所地の家庭裁判所
【申立てに必要は書類、費用】
① 申立書
② 申立人の戸籍謄本
③ 父又は母の戸籍謄本
④ 申立てに費用 子の1につき800円分の収入印紙
⑤ 各家庭裁判所所定の予納郵券(各家庭裁判所で定められていますので、金額をご確認ください。)
家庭裁判所では、申立て後、書類などのチェックを行い、比較的早い期間で審判がでるといわれています。
単純な案件では即日に判断がでる場合もあれば、案件によっては審問などが必要となることがあります。
(2)市区町村役場での入籍手続
家庭裁判所での許可を受けた後には、審判書の謄本、戸籍謄本などの必要資料を添付し、市区町村役場において、入籍届を提出することが必要となります。
まとめ
浮気、不倫において離婚をするにあたっては、ご自身の正当な権利を守るために、様々な手続きをしていくことが必要となることがあります。
また、今後の生活設計、裁判所での手続き、役所での手続き、公的な援助手続きなどもそれぞれの場所で進めていくことが大切となるでしょう。
離婚問題、不倫慰謝料問題については、弁護士にご相談、ご依頼をされることをご検討されることをオススメ致します。
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