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熟年離婚相談

厚生労働省の人口動態統計の概要によれば、25年以上の同居期間がある夫婦において離婚件数が増加していることが見られており、長期間の婚姻生活を終えたうえで離婚に至っている世帯が徐々に増加していることが確認されています。離婚に至る原因にはそれぞれの家庭に理由がありますが、浮気や性格の不一致があげられています。コロナ禍の中で、テレワークなどにより自宅にいる時間が増え、モラハラやDVなどが傾向が発覚していくなど様々な事情があります。このページでは特に浮気・不倫が発覚し離婚をしたいといった場合の熟年離婚についてどのようなことを検討しておくべきかを解説させて頂きます。
 

1 離婚原因

(1)熟年離婚とは

 熟年離婚とは、明確な定義があるわけではありませんが、20年以上の同居、婚姻生活を送ったうえで、離婚に至るケースと考えられるでしょう。50代、60代以降に離婚に至る場合を指す場合が多いようです。
 熟年離婚の件数は増加しているといわれており、全体の6分の1に相当するといわれています。長年の生活で老後生活を共に送っていくことができない、定年を機会に新しい人生を歩みたいとして離婚に至る方もおられる方もいるようです。

(2)離婚原因

 離婚原因については、不貞行為や家庭内暴力などのケースがありますが、性格の不一致、モラハラ、価値観の相違などが多いように思います。これは長い期間は同居生活を続けることはできていたのですが、これ以上は生活を続けることができないと思っていたところ、一定のタイミングで離婚手続きを選択するといったことが考えられるケースが多いようです。
 経験的には、退職後が離婚の時期としてよく選択されるように思います。退職後である場合には、双方に仕事がなく、年金での生活状況がわかってきていることや子どもが独立し、子どもを養育費していく必要性がなくなっている、子どもからの支援、応援を受けることができる状態であるといったことが考えられるでしょう。

(3)離婚手続き

 離婚手続には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚といった流れをたどることとなります。
 協議や調停での合意ができる場合には、必ずしも離婚原因がない場合にも離婚ができる場合があります。
 しかし、裁判上の離婚を行うためには、法律上の離婚原因を備えていることが必要となります。
 離婚原因には、民法770条により、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病、⑤婚姻を継続し難い重大な事由が存在していることが必要となります。
 離婚原因について、不貞行為について立証ができる場合には、離婚手続を行う場合には、法律上の離婚原因に該当するために離婚訴訟で離婚に至ることもできるでしょう。モラハラや性格の不一致については、客観的にみて離婚事由に直ちに該当するように思われないため、別居期間を稼ぐ、客観的証拠を積み重ねるなど準備が必要となることがあるでしょう。
 介護や精神病があるために離婚をしようと考えた場合でも、裁判所は離婚後の十分な補償、具体的な方策が講じられていない限り離婚を認めないといって傾向があり得ます。④強度の精神病や介護などにより離婚を考えらえる場合には、離婚後に相手方が公的機関からの支援を受け生活ができるよう一定の準備を行っておくことが必要でしょう。

(4)熟年離婚をすべきかの検討要素

 熟年離婚においては、検討をすべき問題がいくつかあります。

① 経済的問題 熟年離婚後に生活の見通しができるか

 経済的な収入や年金収入については単独と場合と2人である場合ではやはり金額に違いが生じることとなります。不動産についても価値がどこまでか、どちらが居住を続けるのかを決定していかなければなりません。自分らしい生活を実現するためには一定のお金を用意できる環境があったほうがよい場合がりますので、離婚をした場合に経済的な状況はどうなるのかをよく把握されることが大切となります。生活力があるのか、離婚後の生活をしていけるのか法的な側面などを踏まえて準備をしておくとよいでしょう。

② 周囲の理解、家族の理解を得られるか。

 離婚を選択されるには相当の理由があることがあるのだと考えられます。ひとつひとつの小さくとも配偶者とこれ以上の生活を送ることができない状況があり、離婚をすることが自分自身の人生にとってよいといったことはあり得るでしょう。一方で、親戚関係、交友関係、子どもとの関係で離婚に至る行動が理解をしてもらえるかについては不安があります。相手方の味方になる方々もおりますのですべての方から理解を得られるわけではありませんが、お子さんや特に親しい人からの理解や応援を得られる環境を用意しておくと心理的には大きな助けとなるでしょう。

③ 冷静な視点から課題解決ができるかの最終確認を

 
 離婚には大きなエネルギーを使います。特に、20年以上も一定の婚姻生活を継続してきた場合には、嫌っていてもどこかに情が残っていたり、離婚調停でのケンカになるばかりでなかなか進まないといった場合もあり得ます。多くのエネルギーを使って離婚という選択をするため、自分自身の中で納得をして選択をすることが大切となるでしょう。
夫婦関係調整調停には円満調停など夫婦間で明確なルール作りをすることで課題の解決ができる場合や別居により離れて婚姻費用の支払いを受けつつそれぞれの生活を組み立てるといった夫婦も存在します。場合によっては、離婚カウンセラーに相談をするなどして、自分自身の悩みがどこにあるのかなどを相談されることもあってよいと考えられます。
熟年離婚の場合には、経済的な側面も踏まえて、今後の生活において戦略を立てて、冷静な視点から課題の解決が可能なのか、どのような解決が最も自分自身の幸福にとって最適であるのかを選んでいくことが大切となってきます。

2 熟年離婚で弁護士に依頼するメリット

 熟年離婚で離婚カウンセラーに相談するのみならず、弁護士に依頼する最大のメリットは、法律上の立場で離婚ができるのか、財産分与、慰謝料などでお金の面での適切な離婚を目指していくことができることです。
 特に長期間の夫婦生活では、財産分与などの金額が多額になってしまう場合があり、適切な準備をしておかなければ損をしてしまう危険性があります。他の紛争でも同様ですが、経済的利益をきちんと確保するためには、裁判所での手続きを始める前にどれだけきちんとした戦略を立て、証拠と財産を保全して、準備を行っているかによって変わってくることとなります。
 相手方が否認や争ってきたとしても訴訟手続きにおいて強制的にこれだけの財産は確保するのだという側面を行うために弁護士に早期に依頼をするメリットがあるといえるでしょう。
 逆に、離婚調停まで行い、最終段階で弁護士を依頼されたとしても、弁護士会照会や調査嘱託、保全、強制執行なで可能な手段を尽くすことはできるものの、既に財産が処分されてしまっているなど回復が難しい事項があります。それでも依頼しないよりはマシではありますが、戦略的に離婚を考えられるならば、早期に信頼できる弁護士に相談と依頼を進められるとよいでしょう。

3 財産分与

 財産分与は夫婦共有財産を清算する制度を言います。熟年離婚の場合には、夫婦共同生活において築いた財産がありますので、どのような財産が対象となり、寄与分などを考慮したうえで、2分の1とした場合にはいくらとなるのかを検討しておきましょう。
 遺言や相続などにより取得した財産は特有財産として夫婦共有財産には当たらないため、特有財産にあたり分与の対象とならない財産についても把握しておくことが大切となるでしょう。

(1)退職金

 退職金については、婚姻後から婚姻解消あるいは別居前までのものについては財産分与の対象となることがあり得ます。退職金が既に支払われている場合には、預貯金として考慮されますが、夫婦生活で費用されている場合には、金額が減少していくことがあるので注意が必要です。退職金は多額の金額となるため、ついつい使いすぎてしまうことがあり、思っているよりも早期に浪費をされてしまうおそれがあるためきちんと把握されることが必要となるでしょう。
 退職金が現段階で支給されていない場合には、金額について一定の見積もりを押さえておくことが必要となるでしょう。退職金見込金額や就業規則、退職金規定により計算をできることがあり得ます。高額となるために退職時にきちんとした金額を受け取れるよう合意をしておくことや保全を行っていくことなどを考えておきましょう。

(2)年金分割

 年金分割については、公的年金のうち、2階建て部分である厚生年金部分、共済年金部分について年金額の算出する基礎となっている保険料納付実績を分割し、分割を受けた者に保険の発生事由が発生した場合には、分割後の保険料納付実績に基づいて算定された額の年金受給権が分割を受けた側に発生するものです。厚生年金基金や国民年金基金部分は対象とならないため、これらは他の財産分与にて調整を行うこととなります。
 年金分割には、合意分割と3号分割が存在し、平成20年4月以降においては、夫婦の一方が厚生年金に加入し、他方が厚生年金保険法上の第3号被保険者と認定されていた期間がある場合には、その期間について、被扶養配偶者から年金分割請求をすることで、保険朗納付記録等を当然に2分の1の割合で分割する制度です。家庭裁判所での関与がなくとも2分の1にて行うことができます。
 合意分割について相手方が拒否する場合には、離婚調停、審判、訴訟において、按分割合を定める申立てが行われると特段の事情がない限り、0.5と定められてしまうことが多いでしょう。
 なお、3号分割については、分割を拒否したいと思っても拒否をすることができず、年金分割は公法上の権利であるため、3号分割をしないとの合意をしてとしても無効となる可能性があります。もっとも、年金分割は離婚等をした日の翌日から起算して2年以内に行わなければなりません。2年以内に請求すべき按分割合に関する処分を申立てた場合には、2年を経過しても請求権は失われませんが、判決・審判、調停・和解成立後1か月以内に年金分割をする必要があります。

(3)預貯金

 預貯金については、婚姻期間中から婚姻解消または別居前までに夫婦で築いた財産については共有財産として財産分与の対象となりうることとなります。財産分与の割合としては、原則として2分の1ずつとなり、預貯金についても大きな金額となることが多いでしょう。婚姻期間が長い夫婦であった場合には、600万円を超える財産分与がおこなわれることが多くあります。
 預貯金で注意すべきこととしては、特有財産であるかどうか、浪費などを考慮できるのかといった点が多くあります。

特有財産に注意をしましょう。

 特有財産について、遺産相続により受け継いだ財産については、夫婦婚姻生活による寄与分が考えられない部分については、特有財産として財産分与の対象となりません。預貯金の額面が大きくとも親族からの特有財産であった場合などがあるため、お金の原資がどこであるのかを確認しておく必要があるでしょう。

浪費について必ずしも考慮されるわけではない。

 財産分与については、それぞれの貢献の割合を主張していくことがあります。配偶者がパチンコやギャンブルなどの浪費により財産を費消し、他方でこちらは預貯金を確保していた場合には、財産分与で一定の財産を渡さなければならない恐れがあり得ます。浪費部分については、客観的な算定が難しいために、財産分与で考慮することには困難を伴います。
 そのため、浪費傾向がある場合には、早期に別居を行い、共有財産となる部分を避けるなどの対応をされることも考えられるでしょう。

(4)不動産

 不動産については、住宅ローンが残っているのか(オーバーローンか、アンダーローンか)、不動産の価値はいくらであるのかといった観点によって変わってくることとなります。また、どちらが不動産に住み続けるのかによっても判断は変わってくることとなるでしょう。
 わかりやすいものとしては不動産を売却し、売却益を2分の1ずつとすることが考えられます。オーバーローンでは契約書などを確認し、不動産の価値、残ローンの価値、ペアローンとなっていないか、どちらが住み続けるのかを協議していくこととなるでしょう。
 どちらかが住み続ける場合には、ローンの支払い方法、どの程度の期間居住をするのかなどについても協議を行うことがあります。あくまで合意によるため、必ず住み続けることができるわけではない点に注意が必要となります。そのため、不動産について売却を行うのか、住み続けるのか、別の居住地を見つける場合には、どの程度の費用がかかるのか、単独で賃貸ができるのかなどをあらかじめ考えておくべきことがあり得るでしょう。実家があり、変えることができるかどうかなど老後生活の設計を見込んで準備をしておきましょう。

4 離婚慰謝料

 離婚慰謝料とは、離婚原因に不法行為があった場合に発生するものであり、裁判離婚まで考えるのであれば、立証ができる程度の証拠があったほうがよいでしょう。典型的には、不貞行為、暴力・虐待などが該当することとなります。不貞行為が長期間に及ぶ場合や暴行・虐待が長期間に及ぶ場合には、慰謝料の金額が500万円などとなるケースもありますが、各事例によって変わってくることとなるでしょう。
 不法行為により証拠として、写真、動画、不貞行為を認める録音、ホテル、旅行にいっているクレジットカードの記録、興信所の調査報告書などがあげられます。もっとも、探偵事務所、興信所の調査報告書での調査で高額な費用をかけたとしてもそれに応じて受け取ることのできる慰謝料金額が増えるわけではない点には注意が必要です。
 また、暴行や虐待などがあった場合には、医療機関での診断書や負傷部位の写真などを記録しておくことが必要ですが、生命、身体の危機に及ぶ場合には、警察や配偶者暴力防止センターなどに相談を行い、シェルターに避難するなどを検討する必要があります。
 モラハラについては、発言についてスマホで録音をとっていくこと、日記をつけていくことなどそれらが日々積みあがってきたことを立証することとなります。モラハラひとつひとつではなかなか高額の慰謝料となりにくい部分があります。医療機関で診断書などを受けた場合など行為と損害を記録しておくことが大切となるでしょう。

5 弁護士によく相談を

 熟年離婚をするためには、お金のことや今後の生活を行っていくうえで、検討しなければならないことが多くあります。離婚後の生活設計をよく考え、預貯金、不動産、退職金、株式、自動車などの財産的価値があるものについて証拠資料を準備しておくことが大切です。別居をした後では入手が困難となってしまう資料や隠されてしまう資料ありますので、これらの資料を収集し、離婚後の経済的生活再建をできるよう準備を整えておきましょう。弁護士は法律の専門家として、離婚を行うまでの大きなサポート役となることができるでしょう。天王寺総合法律事務所では、離婚問題に取り組む弁護士が所属しておりますので、熟年離婚について離婚手続きのご依頼をされたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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