浮気や不倫でもらう慰謝料と財産分与は何か違うのですか。 |大阪天王寺で不倫慰謝料弁護士をお探しなら

浮気や不倫でもらう慰謝料と財産分与は何か違うのですか。

夫が浮気や不倫をしたために、慰謝料を支払ってもらうといった話を聞かれたことがあるかと思います。

一方で、離婚をした際にお金について財産分与というキーワードを聞かれることも増えてくるでしょう。

これらはいったいなんなのでしょうか、どのように違うものなのでしょうか。

このコラムでは大阪・堺出身の弁護士が離婚での慰謝料と財産分与の違いについて解説させていただきます。

慰謝料と財産分与は何か違うのですか?

慰謝料は不法行為に基づく損害賠償請求権であるため、離婚原因に不法行為がなければ請求ができない場合があります。

一方、財産分与は、夫婦共有財産の清算がメインであり、清算すべき財産がある場合には請求が可能です。

請求根拠が異なるため、それぞれがどの程度請求できる状況なのかを弁護士にご相談されるとよいでしょう。


 どちらも離婚の際に一定のお金を受けるもの

 

離婚に際して、配偶者の一方から他方に財産上の給付をすることを離婚給付といいます。

慰謝料は、離婚をした原因を作り出した側に対して、精神的苦痛に対する損害を補填するために支払われる離婚時の財産上の給付ということができるでしょう。

慰謝料の請求根拠としては、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求権であると考えられます。

一方で財産分与は、離婚時に、一方の配偶者から他方の配偶者に対して財産上の給付がなされている点では同じです。

しかし、根拠となるのは、民法768条の規定として、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができると規定がなされています。

この制度の目的としては、夫婦が婚姻中に協力して得た財産を清算することにあると考えられます。

夫婦はそれぞれが婚姻中であったとしても、本来は自己の名で得た財産は、それぞれの特有財産となるはずですが、夫婦共同生活の中では、財産は混ざり合ってしまっていて、それぞれの寄与を明らかとすることは困難であり、それぞれの名義に残っている財産が寄与の結果を反映しているとはいえません。

そこで、名義のいかんにかかわらず、婚姻後に夫婦の協力に得た財産については、財産分与の対象として清算をすることとなります。

財産分与の対象は、夫婦共同生活の協力によって得られた財産として、不動産、動産、預貯金、有価証券、債権、すでに市は割れている保険金、交通事故の損害賠償金のうち逸失利益に対応する部分、夫婦での共同事業をしている場合の営業用の財産などすべての財産が対象となります。

もっとも、各自が自由に処分できる財産で得て日用品や仕事の用品、趣味の品は清算の対象とはなりません。

したがって、両者は離婚時にお金を受け取ることができるものである点では一定程度同じ性質があるものの、請求の根拠には違いがあることとなります。

 離婚時に慰謝料は請求できるとは限らない

 

離婚時の慰謝料の法的根拠は不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)となります。

夫婦が離婚したときには常に慰謝料が発生しそうだと勘違いされる方もおられるかもしれませんが、請求ができるためにはどちらかに不法行為が必要となります。

不法行為とは、故意または過失によって、あるいは違法な行為によって、他人の権利や法律上保護された利益を侵害した場合に、それによって生じた損害の賠償を生じさせるものです。

夫または妻の一方が破綻の原因である不法行為(故意または過失、違法な行為によって、離婚原因をつくり、離婚原因がなければ離婚しないで済むという利益、夫婦婚姻生活の平穏など法律上保護に値する利益を侵害すること)が存在しなければなりません。

典型的な離婚慰謝料の発生原因には

① 不貞行為 : 配偶者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係、性交渉を行うこと。

② 悪意の遺棄 : 正当な理由なく、民法752条の同居・協力・扶助義務の履行を行わないこと

③ 離婚に至る程度の暴力 や 暴言

などがあります。

しかし、夫婦が性格の不一致などで相互に徐々に別居に至った場合などでは、離婚原因を夫または妻のどちらに帰責することができない場合があります。

そのような場合には、不法行為に基づく損害賠償請求権が成立しないものとして離婚慰謝料は請求できないことはあります。

離婚慰謝料が請求できる場合、請求できない場合のいずれであっても、財産分与とは請求の原因が異なるため、別途請求することはできますが、財産分与に離婚慰謝料の金額を含めて計算した場合には、同じ原因によって請求することはできない場合があります。

ややこしい話ではあるのですが、後述するように財産分与には、夫婦共有財産の清算のほかに、扶助的財産分与、慰謝料的財産分与として、慰謝料の性質を含めて計算をすることがあるので注意が必要となります。

 財産分与は、清算すべき財産を有している側から支払われるもの

財産分与は、夫婦の協力によって得られた財産を、離婚に際して清算を行うものとなります。

財産分与には、その性質から3種類のものがあるとされており

① 清算的財産分与

② 扶養的財産分与

③ 慰謝料的財産分与

があります。

(1)清算的財産分与とは(2分の1ルール)

 

清算的財産分与は、財産分与の中でも夫婦共有財産を清算するというメインの財産分与となります。

そして、夫婦は、婚姻をしたあとに形成した財産について寄与度が2分の1ずつであると考えられているため、夫婦が婚姻中に取得した財産の2分の1ずつにて算定していきます。

これも間違いやすい部分ですが、財産分与の際に、常に夫から妻に対して支払いがなされるわけではありません。

婚姻中に形成した財産について、妻側がほとんどの預貯金など財産を現在保有している場合には、離婚時には、夫から妻に対して財産分与請求権が行使され、離婚給付が求められることがあり得るのです。

それぞれの預貯金などは、夫婦の片方が婚姻前ないし名実ともに一方の特有財産(例えば、相続や贈与によって取得した財産)などの特有財産といえない場合には、清算の対象となってくることが多くありますので、

・財産分与の対象財産は何か。
・対象財産の金額的評価はいくらか。
・対象財産とはならない特有財産は何か、立証は可能か

などを弁護士にて算定をしてもらうことが大切となるでしょう。

(2)扶養的財産分与とは

 

扶養的財産分与は、清算的財産分与や慰謝料を考慮してもなお、離婚後の生活に困窮をする可能性がある場合に補完的に認められるものです。

当事者それぞれの収入、財産の状況、乳幼児を抱えている場合や病気や高齢で経済的自立が著しく困難であるなどの事情をみて、扶養的な側面として実施がなされます。

(3)慰謝料的財産分与とは

 

慰謝料的財産分与の存在を認めるのかについては争いはありますが、財産分与の額及び方法を決めるにあたっては、慰謝料としての給付を含めて考慮をすることができるとされています。

慰謝料的財産分与については、夫婦の破綻の原因をつくった相手に対して、求めるものではありますが、あくまで不法行為に基づく損害賠償請求権が根拠となりますので、裁判所では、離婚慰謝料を含めて財産分与請求権の申立てをしていない限りは、財産分与としては考慮されていないこととなります。

そして、財産分与において離婚慰謝料の要素を考慮して、請求を行った場合には、離婚慰謝料は財産分与の中で考慮されているため、重ねて慰謝料請求はできないこととなります。

もっとも、財産分与に慰謝料の性質を含めたとしても、本来支払われるべき慰謝料に足りない場合には、なお別途離婚慰謝料を検討する余地はあるでしょう。

 浮気、不倫で離婚する際には弁護士にご相談を。

 

以上のとおり、離婚での慰謝料と財産分与の違いについて解説させていただきましたが、なかなか金額の算定や具体的な請求についてはややこしい部分が存在します。

夫婦の離婚においては、数多くの法的問題が生じることはよくあることであり、とりあえず離婚届だけを出すといった形では解決ができないことがあります。

浮気、不倫と離婚を解決するためにも、浮気、不倫問題に取り組む弁護士にご相談をされることをオススメ致します。

天王寺総合法律事務所では、浮気、不倫問題における初回無料法律相談も実施しておりますので、大阪天王寺周辺にお住まいの方はぜひお気軽にお問合せください。

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著者情報

山本 達也

(天王寺総合法律事務所 代表弁護士)

大阪弁護士会所属。立命館大学法学部卒・神戸大学法科大学院卒。数多くの浮気不倫問題、離婚問題を取り扱っている弁護士。関西地域にて地域密着型法律事務所を設立。弁護士事務所のHPはこちら。

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