【妊娠中の浮気が発覚】慰謝料には考慮されるのか?
離婚・男女問題【妊娠中の浮気が発覚】慰謝料には考慮されるのか?
妊娠中の浮気が発覚してしまうという「ありえない」行為によって悩まれているといった方がおれます。
本来であれば、結婚し、妊娠をして子どもが生まれるといった妻をもっとも心配してしかるべきときに第三者の女性と関係をもつことは、とても大きなショックを受けることになります。
では、このような妊娠中の浮気や不倫に対して、どのように対応をしていくべきなのでしょうか。法的には、離婚や慰謝料をしていくべきなのかを検討していくとよいでしょう。
Contents
1 浮気・不倫が発覚したときの対処法
まずは、浮気や不倫が発覚したときには、信頼をしていた相手から裏切られるといったことにより精神的には大きなダメージを受けていることがあります。
事案によっては、医療の手を借りたり、カウンセラーからのカウンセリングを受けるなどして、ご自身の心を労わること、癒すことを検討していくとよいでしょう。
浮気や不倫についてはご自身が思っておられる以上にダメージを受けていることがありますので、療養などをすることが大切となってきます。
もっとも、将来の法的請求について考える場合には、早期に不貞行為の証拠の保全や相手方の特定、財産分与の際の証拠を集めていくことが必要となります。
そこで、浮気、不倫が発覚した際に、慰謝料・離婚・養育費などをどのように対応していくのかを解説させていただきます。
① 浮気相手に対する慰謝料請求 ② 配偶者との関係の修復 婚姻関係継続に関する合意書作成 ③ 配偶者との別居による対応 別居に関する合意・養育費請求 ④ 配偶者との離婚による対応 離婚請求(親権、財産分与、慰謝料、面会交流)、離婚合意書の作成
2 浮気相手に対して浮気・不倫の慰謝料請求について
(1)浮気・不倫の慰謝料について請求ができる場合について
浮気が発覚した場合には、不法行為に基づき損害賠償請求(民法709条)ができる場合があります。
婚姻関係がある中で、不貞行為を行った場合には、不法行為に該当し、精神的苦痛に対する慰謝料をすることができます。
もっとも、慰謝料請求を行う場合には、法律上の要件として、①婚姻関係があることについて故意・過失があること、②不貞行為(配偶者がある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)という権利侵害行為があること、③損害の発生と因果関係が発生しているといったことが必要となります。
浮気を行った配偶者については、婚姻関係が存在することを認識しており、慰謝料請求は通常認められることになるでしょう。
もっとも、浮気相手に対しては、①婚姻関係があることについて、故意・過失があるのかが問題となることがあります。
例えば、出会い系サイトで1回切りにあったのみであると、浮気相手が不貞行為(性的な肉体関係があった)としても、婚姻関係についてまったく知らない場合が存在します。
そこで、過失として、結婚していることを認識できる事実があったのかどうかについて立証をしていくことが必要となるでしょう。
(2)不貞行為の証拠が確保しておく
浮気・不倫については、不貞行為としては、配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます(最判昭和48年11月15日)。
相手方が不貞行為を認めて、謝罪や損害賠償の支払いを認めるのであれば、証拠は必ずしも必要ではありません。
しかし、浮気、不倫の事件では、相手方が素直に事実関係を認める事案ばかりではなく、不貞行為があったことを否認してくることがあります。
そこで、不貞行為の証拠を確保していくことが大切となります。
不貞行為の証拠としては、ホテルに入っている写真や配偶者や不倫相手が不貞行為を認めた自白の録音、メールやLINEでのメッセージのやり取り、クレジットカードなどの利用履歴、GPSデータなどスマートフォンのデータなど様々なものがあります。
裁判所という第三者がみたときに、客観的にみて、不貞行為があったことが推認されるといえるのかどうかとなるでしょう。
現在ある証拠について、不貞行為による立証が可能なのかどうかを弁護士と相談をしていくとよいでしょう。
(3)妊娠をしていたことは慰謝料の増額理由となるのか
不法行為に基づく損害賠償請求については、精神的苦痛であるため、必ずしも金額が定まっているわけではありません。
不貞行為に基づく慰謝料については、不貞関係が継続しているのか、不貞行為の期間が長期間に及んでいるのか、不貞行為の頻度が多いのか、婚姻期間が長いのか、未成熟の子等がいるのか、婚姻関係が円満であるのかどうか、被害の重大性、結果に対する不貞行為の寄与度、配偶者から相手に対して経済的援助を受けていたか、不貞行為の態度・内容、不倫相手の行動の悪質性、謝罪をしていないことなど様々なことが考慮されることになります。
未成熟の子がいる場合には、不貞行為があったために、養育や監護を将来1人で行わなければあらない可能性があり、精神的ダメージとして慰謝料の増額理由として考慮されることはありえるでしょう。
また、妊娠中であることを認識して不貞行為に及んでいた場合には被害者に対する配慮を欠いている,婚姻関係を積極的に破壊しようとしている行動があるなどの事業があるとして、不貞行為が悪質であると判断される場合はありえるでしょう。
したがって、事案の内容に即した慰謝料の増額理由を主張をしていくとよいでしょう。
3 夫に対する離婚などのどのような選択をすべきか
妊娠中の浮気が発覚した場合に、夫に対して離婚などを求めていくのか、一定のルールを決めて婚姻関係を修復、関係を継続していくのかを検討していくことになるでしょう。
(1)まずは、自分自身がどのようにしたいのかを考える。
離婚をするのかどうかについては、大きく生活環境が変わってしまうため、自分自身がどのようにしていきたいのかといった気持ちと向き合う時間が必要となることになります。
ご家族、親しい友人や離婚の経験者、心理カウンセラーや離婚カウンセラーなどの第三者と相談をしたり、気持ちを整理していくことが必要となるでしょう。
そこで、浮気が発覚したときに、離婚をして新しい生活を行うのか、ルールを決めて、納得をしたうえで夫婦関係を修復して進めていくのかを考えていきましょう。
(2)離婚をした場合に想定される状況を把握していく
大きく環境が変わっていくのであれば、今後の生活を成り立たせることができるのか。どのような社会資源があるのかなどを把握し、生活設計を立てられるのかを検討していくことになります。
離婚の場合には、法的には、養育費の請求、財産分与、慰謝料などの金銭が問題となってきます。公的な経済的支援としては、児童扶養手当、児童手当などがあります。精神または身体に障害を有する児童の場合には、特別児童扶養手当や障害児福祉手当などを利用できる場合があります。社会福祉協議会などにより貸付金や自立支援教育訓練給付金、公営住宅への入居など、市役所で受けられる公的支援を相談をしておくとよいでしょう。生活保護法により支援を受けることができる場合がありますので、状況などをみて申請を行うことも検討しましょう。
(3)夫婦関係を修復する場合
配偶者が不貞行為を反省し、今後の夫婦関係を修復して婚姻生活を継続していくこともあるでしょう。
婚姻生活を継続していく場合には、きちんとしたルールなどを合意書として作成しておくほうがよいと考えます。
妊娠中に不貞行為を行うという社会的にも非難されるべき行為があったとしても、時の経過によって配偶者の反省が弱まるといったことはあります。あれは過去のことだといって、将来に離婚が問題となったときに誠実な対応をしてもらえない場合もありえます。
したがって、配偶者を許し、婚姻生活を継続する場合には、今後の不貞行為をしないこと、不貞行為を再び行った場合には違約金を支払うこと、財産分与や養育費など一定の事項を定めておくとよいでしょう。
家庭裁判所では夫婦関係円満調停として、夫婦関係を調整する調停も存在します。弁護士などに合意書作成を相談・依頼をしていくとよいでしょう。
(4)別居を行う場合
夫婦関係の今後を考えた際に、別居を行うといった選択を取られることもありえます。
事実関係の確認や気持ちの整理、経済的な生活が成り立つのかなどを検討するために別居を行うといったことはありえるでしょう。
別居を行う場合には、養育費の支払いを確保しておくことが必要となります。
養育費については、離婚をしていない別居の場合にも、監護をしている親に対して同居をしていない親は養育費を支払義務があります。
子どもの養育費については、養育のために必要な費用を当事者の合意で定めることができるのであれば、合意書によってまとめておくことが大切となります。
預貯金の通帳を預かるなど実質的な支払いを確保するなどの措置をとることもありえます。
別居を行うと、将来、財産分与で紛争になった場合に証拠を十分に集めきれていないといった事案もありえます。
そのため、別居前から将来のことも踏まえて財産分与の証拠資料を集めておくとよいでしょう。
(5)離婚を行う場合
離婚を行う流れとしては、協議離婚・調停離婚・裁判離婚といった流れを経ることとなります。
協議離婚で離婚をするのみである場合には、親権者を定めて、離婚届を提出することによって離婚が成立することとなります。
もっとも、離婚のみが先行して成立してしまう場合には、養育費の取決め、財産分与の取決めなど法的に重要な事項が定められていないことがあります。
また、不貞行為を行った配偶者に対しては、破綻についての責任のある有責配偶者からの離婚請求は信義誠実の原則に反して認められないとの立場があります。
最高裁昭和62年9月2日判決では、①夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当な長期間に及んでいること、②当事者の間に未成熟の子がいないこと、③相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて苛酷な状況におかれる等、離婚請求を許容することが著しく社会正義に反するという特段の事情が認められないということの3要件にあるときに離婚請求が認めらえるとされているため、妊娠中の不貞行為などの事情を踏まえると、特段の事情がなかなか認められないものと考えらえるでしょう。
離婚については、親権、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など法的に様々な事項が問題となり、事案によっては長期間の対応が必要となってきます。
そのため、離婚を行う場合には、弁護士と継続的に相談を行い、離婚調停・訴訟などを弁護士に依頼をしていくなどを行っていくとよいでしょう。
4 妊娠中の不倫・浮気案件について弁護士に依頼するメリットとは?
妊娠中の不倫・浮気の案件については、ただでさえ精神的な負担が大きく、体調に配慮しなければいけない状態であるため、専門家について相談をすることでできる限り精神的負担、ストレスを避けるとよいでしょう。
また、別居合意書、離婚合意書などの書面の作成や離婚調停・離婚訴訟について弁護士に手続きの代理を行うなど専門家の支援を受けるメリットが多いでしょう。
浮気・不倫の問題については、子どものことを考えて離婚まで進むといったことが難しい場合はありえます。
浮気相手に対する慰謝料請求や離婚を行っていくのかどうかについて専門家の弁護士に相談をしていくとよいでしょう。
天王寺総合法律事務所では、不倫・離婚問題に取り組む弁護士が所属しておりますので、不倫慰謝料請求を行いたいなどを依頼したい場合には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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