身に覚えがない不倫についての慰謝料請求!?どうしたらいいの? |大阪天王寺で不倫慰謝料弁護士をお探しなら

身に覚えがない不倫についての慰謝料請求!?どうしたらいいの?

突然不貞慰謝料を請求する書面が自宅に届いたが,何のことか分からない

「証拠はある」と言われたが何もしていないのに…

見に覚えがないので無視してもいいのでは…?

 

不貞行為の慰謝料を請求された方の中には,「何もしていないのに!」と身に覚えのない請求に右往左往…というケースもあるはずです。

「不貞をしたから慰謝料を払って」と言われても,何もしていないし…

「不貞なんてしていない」と答えても,「とぼけるのか,反省していないのか」と全く取り合ってもらえず,それどころか余計に怒らせてしまった…

等,やってもいない不貞行為を問い詰められた場合,その対応方法に困ってしまうことがほとんどです。

そもそも,なぜやってもいない不貞行為の疑いをかけられるのでしょうか。また,不貞行為を否定したい場合,慰謝料請求にはどのように対応すればいいのか,やってはいけないことはあるのか等,気になる点はたくさんあるでしょう。ここでは,これらの疑問にお答えしていきます。

 

1.そもそも「不貞行為」とは?

「不貞行為があったから慰謝料を払え」と言われても,そもそも「不貞行為」とは何を指すのでしょうか。

不貞の慰謝料請求は,法的には,民法上の「不法行為に基づく損害賠償請求」に分類されます。そして,民法上の「不法行為」に該当する不貞行為とは,過去の裁判例に照らすと「既婚者と肉体関係を持つこと」と言い換えることができるでしょう。肉体関係を持って初めて慰謝料請求の根拠となる「不貞行為」があったと認められるのです。

そのため,一緒に食事に行っただけとか,キスしただけ,というケースでは,民法上の不法行為に該当する「不貞行為」があったと認められる可能性は低いでしょう。

慰謝料請求の根拠となる「不貞行為」は,あくまで「肉体関係」があることを前提としているのです。

 

2.なぜ不貞の濡れ衣を着せられる?

⑴火のないところに煙は立たない?

身に覚えが全くないのに慰謝料を請求されるなんてことはあり得るのでしょうか。「火のないところに煙は立たない」と言われますが,まれに火の気配もないのに煙が立ってしまうケースもあるようです。

たとえば…

会社の同僚であるAさんに一方的に行為を持たれ,LINE等で頻繁に誘われていた。それをAさんの配偶者が発見し,不貞を疑って慰謝料を請求してきた。

というケースが考えられます。

また,

会社の飲み会の帰りにAさんに車で自宅まで送ってもらった。実は,Aさんはたまたま別人と不貞行為をしていた。Aさんの車のドライブレコーダーの記録から,Aさんの配偶者に不貞を疑われた。

なんてこともあるかもしれません。

「そんなまさか」と思われるかもしれませんが,ごくまれに「まさか」と思う事情から不貞行為を疑われ,慰謝料を請求されることもあり得るのです。

 

⑵「肉体関係」はなかったけど…

肉体関係はないけれど,一緒に旅行に行ったり食事に行ったり,ある程度「親しくしていた」という場合もあり得るでしょう。

2人で出かけているところを人に見られ,人伝に配偶者に伝わり,不貞行為を疑われる,というケースも少なくないのです。

 

3.慰謝料請求をされた場合のNG行動

肉体関係がないにも関わらず慰謝料を請求された場合,「不貞行為」がないわけですから,慰謝料の支払義務が発生する可能性は低いでしょう。

ですが,突然「私の配偶者と不貞していただろう」と言われると,どうしていいか分からず,自分の不利益になる行動を取ってしまうかもしれません。では,どのような行為が不利益につながってしまうのでしょうか。

 

⑴肉体関係を認める

肉体関係がないにもかかわらず,「関係があった」と認める人はいないでしょう。ですが,「不貞行為をしただろう」と詰められ,恐怖心から逃れたいがために「不貞があった」とつい答えてしまう方もおられるかもしれません。

また,「肉体関係」はなくても,2人で食事をしたり遊びに行くことも不貞行為に該当すると思い込み,「浮気していただろう」と言われ,「確かに浮気していました」と答えてしまう場合もあるでしょう。

不貞を認める発言をして,その発言を録音されていれば,不貞行為の存在を証明する重大な証拠になってしまいます。自身の口からの発言ですから,その発言が「事実ではない」と後から覆すことは難しいかもしれません。

 

⑵内容を確認せず,誓約書や合意書にサインをする

「私の配偶者と不倫していただろう」と突然詰められても訳が分からず,「不倫の事実はない」と否定すれば「とぼけるのか」と更に怒鳴られ,怖くてつい誓約書にサインをしてしまった…という方もおられるかもしれません。

しかし,内容を確認せずサインをするのは危険です。もし誓約書に「不貞行為を認めて謝罪する」等不貞を認める文言が含まれていた場合,自分で不貞行為を認めたことになります。

ご自身の手で署名をしている以上,「中身を確認したうえでサインしている」と考えられるのが通常です。後から「文章は読まずにサインした」と反論することは難しいでしょう。

 

⑶明確に不貞行為を否定しない

相手から不貞を疑われた際,うっかり口を滑らせて自分に不利になる発言をしないようにとの思いから,弁護士に相談してからきちんと回答しようと考え,「回答できない」とだけ答えてしまうケースもあるかもしれません。

不貞行為がなければ「不貞行為はない」と回答すれば足ります。「明確に不貞を否定しなかった」ことで,より一層不貞行為の存在を疑われてしまうリスクはあるでしょう。不貞行為がない以上,疑われた段階ですぐに「誤解である」ということを伝えましょう。

 

⑷「謝罪」をする

突然不貞を疑われた際,肉体関係はないが,親しくしていた,一緒に食事に行ったことはある等,「不貞を疑われた原因」に心当たりがある方もいらっしゃるでしょう。そのような場合に,「勘違いをさせる行為をして申し訳なかった」という趣旨で謝罪してしまうケースは少なくありません。また,とりあえずその場をなだめようと謝罪してしまうというケースもよく耳にします。

ですが,不貞を疑われて謝罪をすれば,一般的に「疑われた内容を認めて申し訳なく思っているから」と解釈されてしまうでしょう。ですから,単純な謝罪は避けるべきです。その場をおさめるために謝罪するのであれば,「勘違いさせたのであれば申し訳ない」等と,きちんと謝罪の言葉を述べる趣旨を明確にしましょう。もっとも,「謝罪する」という行為自体が「やましい部分を認めている」と解釈される可能性が高いですから,不貞行為の事実がないのであれば,謝罪自体避けるべきかもしれません。

 

4.「無視」は絶対にNG

ここまで「やってはいけない行動」を述べてきましたが,「これらのNG行動をとってしまうくらいなら何もしないのが一番!」と考えるのが最も危険です。

相手からの請求を無視していると,裁判所に訴訟を提起される可能性があります。「濡れ衣だから」と裁判所からの呼び出しも無視していると,「相手の主張を認めている」と解釈され,慰謝料請求が認容され,金銭の支払いを命じる判決が出されるかもしれません。

「不貞行為なんてしていないのだからそんな判決出るわけがない」と思われるかもしれませんが,あなたの「不貞相手」とされる人の自白を書面化して裁判所に提出する等,何らかの証拠を作り出して不貞の事実を証明しようとする可能性はあるのです。訴訟を起こされた以上,「相手の出している証拠は偽物だ」ときちんと反論しなければ,相手の主張が認められる可能性が高まります。

判決を取られると,判決で命じられている金銭の支払いを怠れば強制執行をされるかもしれません。不動産や自動車等の財産を持っていれば,これらの財産を差し押さえられるでしょう。また,相手に職場が知られていれば,給料の一部を差し押さえられるかもしれません。

このように,相手からの請求を無視し続けると取り返しのつかないことになってしまいますから,身に覚えのない不貞を疑われた場合は,ご自身の潔白をきちんと主張しなければなりません。

 

5.まとめ

不貞行為をしていなくても,何かしらの原因で不貞を疑われるケースは存在します。

慰謝料を請求しようとする場合,不貞の事実を証明しなければいけないのは請求する側です。不貞が事実ではない以上,それを証明することは不可能ですから,濡れ衣を着せられた場合には,きっちり否定し続けることが重要です。

相手の請求を無視し続けることは絶対にしてはいけませんから,ご自身で対応するのが怖い,何か余計なことを言ってしまわないか不安,という方は弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

 

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著者情報

山本 達也

(天王寺総合法律事務所 代表弁護士)

大阪弁護士会所属。立命館大学法学部卒・神戸大学法科大学院卒。数多くの浮気不倫問題、離婚問題を取り扱っている弁護士。関西地域にて地域密着型法律事務所を設立。弁護士事務所のHPはこちら。

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