会社経営者のための離婚相談 | 大阪天王寺で不倫慰謝料弁護士をお探しなら

会社経営者のための離婚相談

会社経営者の場合には、離婚をするにあたっても検討しなければならないことが多いため注意が必要となります。このページでは会社経営者が離婚をする場合に考えなければならないことを解説させて頂きます。
まずは、離婚が会社の経営に影響しないようにするための配慮をしなければなりません。

・財産分与については、一般的に様々な財産があるために算定しなければならない財産が多数に及ぶことがあるでしょう。会社財産が財産分与として主張される場合もありえます。会社財産と個人の財産は異なるため別財産とされるのが原則ですが、零細・個人経営の会社の場合は、独立した会社財産ということができず、個人資産と同視できるとして財産分与の対象となる危険性があります。
・非公開株式の財産分与については評価を行い、適切な金額での代償が必要となることも多いでしょう。また、そもそも財産分与の2分の1ルールが会社経営の場合にも妥当するかも検討しなければなりません。
・会社の役員や従業員として配偶者を雇用している場合があり得ます。これらの関係を法的にはきちんと整理しなければなりません。
 離婚はとてもエネルギーがかかる一方で、思っている以上に時間がかかり、思い通りに進まないことが多くあります。会社に影響をできる限り避けるためにも弁護士に対応を依頼をしていくとよいでしょう。

1 会社経営者での離婚原因

 会社経営者や社会的な成功された方であっても離婚に至る原因はどのようなものがあるのでしょうか。
不貞行為やドメスティックバイオレンス、経済的虐待といったことがある場合には、離婚原因としてはわかりやすい部分があります。夫婦共同生活の基礎にある信頼関係が損なわれることとなりますので、離婚となってしまうことがあり得るでしょう。
また、事業の失敗などにより配偶者を守るために、離婚を選択するといった場合もありえるでしょう。事業の失敗の場合に、支払不能ののちに、財産分与で移転をさせた場合には、否認権の行使対象となるため注意が必要なこととなります。
性格の不一致、価値観の相違といったことが原因となる場合には、直ちには法律上直ちに離婚原因とならないため注意が必要です。性格の不一致となる理由として、経営者である以上、会社に最も重きを置かれている一方で、配偶者は子どものことを最優先にしている場合、何を優先させるべきかによって価値観の相違は生じやすい状況になります。
 離婚原因が、性格の不一致や価値観の相違がある場合において、①相互の話し合いや別居などにより修復が可能か、②修復が不可能である場合にはどのような条件、時期に離婚を行うのかいったことを検討していくこととなるでしょう。

2 弁護士に依頼をするメリット

 会社経営者の離婚問題において弁護士を依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。

① 離婚について弁護士に任せることで経営に集中できる

  離婚については、相手がいる問題であり、感情的な対立も深く、思い通りに進んでいかないことがほとんどです。そのため、離婚を行うまでに心身のエネルギーを消費してしまい、経営がおろそかになってしまうことがあり得てしまいます。弁護士に依頼しておくことでポイントを押さえた協議を行っていくことはメリットが大きいでしょう。

② 財産分与など法的に妥当な結論を目指すことができる。

  家庭裁判所の調停委員や周囲の人は、配偶者が消費者や交渉能力の弱い者であると同様にみなしてしまい味方をしてしまうことがあり得てしまします。会社経営者であるというだけで社会的強者として対等な交渉とならず、財産を持っているのであれば不必要な譲歩まで求められてしまうことがあるかもしれません。裁判所において法的に対等、妥当な結論を目指すためにも弁護士に依頼を行い、法律に則った解決を目指していくことにメリットがあるでしょう。

③ 書面作成・証拠の選別、提出など裁判所での専門的な対応を依頼できる

  家庭裁判所とはいえ、裁判所のために書面、証拠の提出は大切な要素となります。主張書面について伝えるべきことはきちんと裁判所に伝えなければなりません。離婚事件では、こちらが認識している事実とは全く異なる主張書面や離婚に至る経緯が説明されることもしばしばです。ビジネスの世界とは異なる考え方のもとで書面作成、証拠提出を行っていくことは個人にはとても負担と伴います。そのため、家庭裁判所での紛争に慣れた弁護士に依頼をされることをお勧めいたします。

3 会社経営者として離婚する場合の法的課題

(1)財産分与・財産分与の割合の変更

 財産分与とは婚姻生活において夫婦共有財産の清算を行うことです。夫婦共同生活を行っている以上は、配偶者が専業主婦(主夫)であっても築いた財産は名義にかかわらず共有であるとして財産分与の対象となります。婚姻前からの所持している財産や遺産相続により取得した財産は、特有財産として財産分与の対象とならないため、まず特有財産となるかどうかを主張します。
 夫婦の共有財産となった場合には、財産分与割合に応じて分与されることとなります。
 財産分与の割合としては、2分の1ルールにより原則的には、半分にすることがほとんどです。しかし、自身の特殊な能力や努力により資産を形成した財産については、他方の配偶者の寄与度が少ないとして2分の1ルールが適用されないと判断されることがあり得るでしょう。数千万円程度であれば、なかなか特殊な能力や努力とまでは認められないケースも多いでしょうが、割合が変わることにより残せる金額は大きく変わってくることとなります。資産形成について特殊な能力や努力が寄与したことを積極的に立証していくことが大切となるでしょう。

(2)配偶者が役員・従業員である場合

 配偶者に対して共同経営者や会社役員、従業員として雇用されている場合もあり得ます。
 会社の共同経営者や会社役員の場合には、会社法上の株主総会や退任の登記をきちんとしておくことが必要となるでしょう。また、解任を行うためには、正当事由が必要であり、会社法上の違法行為や心身の故障があったことなどが必要となります。離婚をすること自体では、正当事由と認められるかは難しい場合があり、正当事由がない状態で解任をした場合には、会社法上の損害賠償責任を負う可能性があります。手続き面や配偶者から辞任届をきちんと提出してもらうなど対応をしておきましょう。
 役員として借入金に対して連帯保証人となっている場合についても金融機関との間で問題となるケースがあるでしょう。

 また、従業員であった場合には、労働法上の規制があります。解雇事由は厳格に考えられているため、離婚をしたことにより当然に解雇をすることはできず、解雇無効の訴え、未払賃金の支払いを求められる可能性があります。一方で、離婚した配偶者が職場にいることは現実的ではない部分があります。配偶者から退職届を出すように、自主的な退職を進めるよう任意での退職を進めていくこととなるでしょう。

(3)株式・会社財産の算定方法

 会社財産は、会社と個人の財産は別財産であるため、会社の財産は財産分与の対象とはならないのが原則です。しかし、離婚前に個人の財産を会社財産としているなど、個人の財産を法人財産として隠匿を行っていると判断されるおそれがあります。
 税金対策のための設立したにすぎない法人や個人財産と会社財産の区別が明確ではなく、実質的にみて個人と法人とを同一視できる場合には、会社財産を財産分与の対象として考慮されるおそれがあります。会社への貸付金といった形にしている場合には、個人の債権として財産分与の対象となるため注意が必要となるでしょう。

 株式については、夫婦共有財産として取り扱われる可能性がある財産です。上場会社の株式については、離婚時の時価により算定ができるため株式の評価について算定をすることが容易でしょう。
 しかし、非公開会社の株式であった場合には、譲渡ができないため買取などにより対応を行うことがありますが、株式の価値について算定は行っていくことが必要となってきます。算定方法にはいくつかの種類(純資産方式〔(総資産の額―総負債の額)を発行株式総数で割り、株価を算定する方法〕、類似業種比例方式〔国税上での類似業種比例価格を基礎として1株あたりの配当金額を算定する方法〕、配当還元方式〔株式で受ける配当金額を一定の利率で還元し株式の価格を算定する方法〕、DCF方式〔会社の生み出すキャッシュフローの総合計を現在に算定する方法〕等〕があり、その会社にとってふさわしい評価方法により算定をしていくこととなるでしょう。

(4)動産・ゴルフ会員権・保険について

 会社経営者では、自動車、時計、骨とう品などの動産を保持しているケースがあります。これらも夫婦婚姻生活中に築いた財産である場合には、財産分与の対象となります。時価を鑑定を依頼し、分与を行っていくことがあり得るでしょう。
 有価証券やゴルフ会員権も財産分与対象となることがあり得るでしょう。保険については、保険の解約返戻金が問題となってきます。それぞれの財産について評価をきちんとしておくことが大切となってくるでしょう。意図的に財産を隠匿し、財産分与を行った場合などでは、民法上の詐欺行為として、合意の取消しを求められるなど、損害賠償請求が認められてしまうおそれが存在する点には注意が必要となるでしょう。

(5)不動産について

 不動産については、大きな財産であるため、残ローンがあるのかどうか、残ローンがあるとしてオーバーローンとなっているのか、アンダーローンとなっているかによって分与する方法が異なっていくこととなってきます。オーバーローンの場合には、負債として売却して負債を考慮した他の財産とで分与を行うか、残ローンを支払い続け、将来財産をどのように分与、処理を行うのかを合意をすることになるでしょう。残ローンがない場合やアンダーローンの場合には、売却益を2分の1とすることは簡明でわかりやすい方法ではあります。どちらか不動産を取得する場合には、売却益分の2分の1などで代償金にて清算を行うこととなるでしょう。

4 子どもの親権との関係について

 親権については、子どもの利益のためにどちらが親権者となることが子どもの福祉、幸福にかなうかといった観点から判断されます。浮気・不倫が相手方にあったとしても、子どもの利益に影響を与えない場合には、親権の判断で直ちに考慮がなされるわけではない点に注意が必要となるでしょう。

 親権の判断考慮要素としては、①現在までの子どもの養育状況、②今後の養育方針や養育環境(周囲の養育に対する協力支援状況など)、③親権者となるべき理由(愛情、監護監督の状況、住居、収入などで子どもの成育で利益があるか)、④親権者として不適切な理由(虐待、暴力、ネグレクトなど子の利益を害することがあるか)、⑤子どもの意向、⑥兄弟と分離せずに生活できるかなどを考慮します。

 現在は母子優先の原則は優先されているとは言われていませんが、現実には、幼少期において子どもの世話を継続的、長時間にわたり見ている人物が女性であることが多いため、養育実績から母親が親権者となることが多い事情は存在します。

 子どもの親権を取得を目指す場合には、養育にどこまで積極的、継続的にかかわってくるのか、親権者としてどのような点が子どもの福祉にかなうのかを検討しておくことが大切となってくるでしょう。もっとも、離婚自体は子どもに与える影響が大きいものとなりますので、子どもの心身の影響が生じないよう子どものためにどのように進めていくことがふさわしいのかはよく考えて進めていくことが必要となるでしょう。

5 婚姻費用・養育費の算定

 婚姻費用、養育費については、権利者、義務者の収入により算定していくため、会社経営者の場合には、高額な婚姻費用、養育費が算定されてしまうケースがあり得てしまいます。
 まずは、当事者の合意により、婚姻費用・養育費が算定することができますので、生活を行うにあたって必要なお金はいくらであるのかを計算し、具体的な金額で合意をすることということがあり得るでしょう。婚姻期間中に生活費として月100万円を受け取っていななどと主張されることもありますので、生活費で必要な金額はいくらであるのかを内訳を示していくとよいでしょう。

 養育費・婚姻費用算定表が家庭裁判所で公表されており、算定表では上限があります。そこで、必要な養育費、婚姻費用は支払いは算定表の上限額で妥当するとして上限額での範囲として主張することがあり得るでしょう。養育費・婚姻費用算定表の場合では、自営業者の場合には、年収1567万円であり、月額35~40万円程度となることがあります。

 婚姻費用については、相手方に有責配偶者であることが明白であるとして、有責配偶者に権利濫用、信義則違反により配偶者分について支払義務がないことを主張していくことがあり得るでしょう。
 養育費については、子どものために必要なお金であるため、配偶者に不貞行為があったとしても支払いを継続していかなければならない費用となります。
 したがって、養育費分は支払いを続けることが前提となってくるでしょう。

 婚姻費用・養育費の増減額請求についても注意をしておくとよいでしょう。再婚や再婚相手との間で子どもが生まれた場合には、養育費の減額の理由となることがあります。
会社経営については様々なリスクがあり、大きな収入の減少がある場合があり得ます。配偶者側からは婚姻費用、養育費を下げるために低収入となっていると主張されることもあり得ますが、事情の変更があった場合にはこれらをきちんと主張し、養育費の金額を決めなおすことが必要となるでしょう。
養育費については、破産手続きでも免責されない非免責債権となっているため、高額な養育費の債務名義のまま長期間不払いをのちに支払えと求められる危険性があり得ますので、会社経営などの事情が変わってくる場合には、養育費に対する対応もきちんとしておきましょう。

6 離婚慰謝料の算定

 離婚慰謝料は、離婚原因に不法行為があることが請求根拠となります。会社経営者側から離婚をする場合であっても、離婚原因が配偶者にある場合には、離婚慰謝料を請求することができる場合があるでしょう。離婚慰謝料が請求できる離婚原因としては、不貞行為、悪意の遺棄、暴力、精神的虐待など不法行為を立証できることが必要となるでしょう。
 不法行為に基づく損害賠償請求は、本来的には相殺が許されないものではあるものの、会社経営者の場合には、財産分与請求との間で調整することもあり得るでしょう。

7 会社経営者の離婚では弁護士を依頼すべき

 会社経営者が離婚をするにためには、様々な法的問題が生じることが想定されます。会社の経営に集中するためにも、家事事件を取り扱っていく弁護士に依頼されることをお勧めいたします。争点などを踏まえて、経済的合理性を判断し、どの段階で合意をすべきかなどの協議を行っていくとよいでしょう。天王寺総合法律事務所では、離婚問題に取り組む弁護士が所属しておりますので、離婚紛争のご依頼をされたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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