浮気・不倫で弁護士が必要な理由
- 浮気、不倫の慰謝料で弁護士はなぜ必要なのでしょうか
- 本人では慰謝料を請求できないのでしょうか
- 弁護士を選ぶ際にどんな点に注意をしたらよいのですか
浮気、不倫、不貞行為に書き込まれたのだけれど弁護士を探すのは初めての方は多いでしょう。そのためなにを弁護士に依頼できるのか、なぜ弁護士が依頼する必要があるのかがわからないことがあり得るでしょう。そこで、このページでは、浮気、不倫慰謝料で弁護士が必要な理由を解説させていただきます。弁護士を選ぶ際にぜひ参考にしてください。
1 弁護士には何を依頼できるのか
浮気、不倫事件で弁護士に何を依頼できるのでしょうか。
弁護士は、法律の専門家であり、示談交渉、訴訟対応などの請求の代理ができます。
弁護士以外が報酬える目的で、訴訟事件や一般の法律事件に関し代理をすることはできないため、弁護士以外が慰謝料請求ができると記載している場合には注意が必要しましょう(司法書士、行政書士などは内容証明郵便の作成、法律文書の作成など)。
弁護士は、浮気、不倫の証拠について裁判上で通用するのかの判断や職務上請求や弁護士会照会にて公共機関への調査、照会ができることがあるでしょう。
一方で、浮気、不倫の現場のホテルの写真を撮影するなど証拠の収集については弁護士が主導して行うことはありません。証拠については、本人でまず探してみるといったこととなるでしょう。
探偵事務所を利用する場合の注意点
探偵事務所に依頼することで、浮気、不倫の調査で尾行調査などにより浮気、不倫の現場を写真撮影することができる場合があります。もっとも、浮気、不倫が行われる可能性がある日時を指定し、調査をしなければ有益な情報が得られず、費用ばかりが掛かってしまう危険性があります。GPSやスマートフォンから一定の目星をつけて調査を行うなどご本人でも準備が必要となるでしょう。浮気、不倫の慰謝料請求で探偵事務所の調査費用は全額が回収できるわけではなく、調査費用について注意をしておきましょう。また、公安委員会に届出がなされているかなどを確認し探偵事務所で信用性や料金体系を確認しておきましょう。
2 弁護士を入れなかった場合のリスク
浮気、不倫の慰謝料の証拠を収集したのち、弁護士を入れずに慰謝料を請求することはできないのでしょうか。
結論としては、弁護士を入れずとも、慰謝料の請求自体はできます。
一方では、弁護士を入れなかった場合には、下記のようなリスクがあるため、法律の専門家である弁護士を入れることをおすすめしています。
(1)否認されるリスク
ご本人からの慰謝料請求の場合には、相手方が軽くみて否認をしてくるリスクがあります。相手方に証拠を示しても、 証拠の詰めが十分でないために、言い逃れの余地を作られてしまうおそれがあります。
弁護士からの慰謝料請求の場合には、裁判上で通用する証拠を有しているかを確認し、請求を行う法律事務所がほとんどです。また、裁判の準備段階として任意請求をしているために、相手方としても軽く扱うことができず、裁判に巻き込まれないよう不貞行為を認め、慰謝料の金額交渉となるケースがあるでしょう。
したがって、ご本人で請求する場合には、証拠が十分でなく否認されるリスクや相手方に対策をされてしまうリスクがあります。
(2)相手方から何らかの請求を受けるリスク
ご本人で浮気、不倫の慰謝料を行う場合には、怒りに任せて、相手方に直接会いに行ったり、会社に訪れるといった形を取れる方もおられるでしょう。本来の平穏に会うといった場合には問題がありません。しかし、浮気相手の態度に対して怒りを感じて大声を出してしまうといったことは少なくありません。大声で公然と浮気をしたとの事実を告げることや退去を求められたのに退去をしない場合など名誉棄損や不退去罪に該当する危険性があります。
SNSで浮気相手に対する不満を書き込む場合にも氏名、会社名などを書くことで違法行為と判断されるおそれがあります。法律上の請求権があることでも社会相当性を欠いた請求手段を行うと相手方から刑事告訴や損害賠償請求を受けてしまうことが存在します。
したがって、本人からの請求では感情的になってしまい、違法行為を行ったとして相手方から逆に請求を受けるリスクが存在します。
(3)合意書が正確でないリスク
ご本人で相手方と話し合いを行い、慰謝料を支払ってもらう場合に、合意書を作成することがあるかもしれません。しかし、合意書の作成は各事案ごとに微妙に違うもので注意が必要です。のちの裁判上で使いにくい合意書となっている場合や接触禁止条項での違約金がこちら側にもかかってくる危険性がある場合も存在します。合意書作成は、紛争を終了し、きちんとしたお金を受け取るといったものです。正確な合意書を作成できないために、紛争がかえって長引いてしまうことは望ましくありません。
したがって、本人で相手方と協議を行う場合には作成する合意書が正確ではないとのリスクが存在します。
(4)対応が精神的に苦しいリスク
ご本人から相手方への請求をした場合には、交渉の内容、時期、金額などをご自身で考えて行わなければなりません。交渉は相手方がいるものであり、こちらが思っている以上の相手方は容易に合意をしないといったことがありえます。婚姻関係が破綻していたとの主張や配偶者から積極的に誘ってきたのにこちらに請求してくることは理不尽であるとの強い反論がなされて精神的に参ってしまうことが少なくありません。請求に時間が取られてしまい、本来他のことに使うことができていた時間が失われてしまうといったことがあり得るでしょう。
したがって、ご本人での慰謝料請求は精神的に大きな負担となるリスクがあります。
(5)弁護士がついた場合に対応できないリスク
ご本人で請求をしたものの、相手方に弁護士が付いた場合には交渉での困難が乗じるおそれがあります。弁護士は訴訟や交渉の専門家としてこのような金額が妥当であるとの交渉や相手方弁護士から証拠の開示などがなければ慰謝料の請求を受けることができない、低額の分割和解しか受けられないと交渉がなされることもがあるでしょう。事案からどのような慰謝料金額が妥当であるのかを把握し、妥当な解決策であるとして合意をすることはなかなか難しいでしょう。任意交渉で納得できないとして訴訟を提起しようと思っても、訴状の作成や訴訟期日の対応、準備書面の作成、尋問期日の対応などを、ご本人で行うことは、物理的、精神的に非常に大きな負担となります。
したがって、相手方に弁護士が付いた場合にご本人では十分に対応ができないリスクがあります。
3 弁護士を入れるべき理由
それでは弁護士を入れるべき理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
(1)裁判上も通用する証拠であるかの判断
まず、既に所持している証拠について、裁判上も通用する証拠であるのかを判断することができます。証拠で何か足りていないのか、他の案件ではこのような証拠を集めることで事案の解決ができたといった証拠収集に対するアドバイスをもらえることがあるでしょう。探偵事務所を利用すべき案件かどうかといった判断をもらうこともあり得るでしょう。
また、相手方から想定される反論を踏まえて証拠の程度を検討することもできます。今回の紛争で想定される反論を踏まえて、証拠の準備、訴訟の準備を行うことができます。
したがって、所持している証拠が裁判上も通用する証拠であるかを確認できる点は弁護士に依頼する大きなメリットとなるでしょう。
(2)名誉棄損・プライバシー侵害を避けつつ正当な利益請求ができる
弁護士は、法律上の請求を数多く行っているため、順序を踏んで請求をしていくことになります。住所地への請求ができない場合、就業先送達をしなければならなかったなど請求について正当な根拠を揃えながら正当な請求ができることになるでしょう。これ以上の行為をおこなった場合には、名誉棄損やプライバシー侵害として社会相当性を害する行為といった判断をすることができるため、こちら側が刑事告訴や違法な請求を行っているとのリスクを大きく下げることができるでしょう。
したがって、正当な権利の実現、請求を行うために弁護士に依頼をするメリットがあるでしょう。
(3)有効性の高い合意書の締結ができる
弁護士を入れることのメリットとしては、回収の確実性の高い金額を合意し、公序良俗に反しない有効な合意書を作成できることでしょう。まず、不貞行為の慰謝料については相手方と協議をして金額を定めていきます。そのため、回収の確実性の高い金額を合意し、仮に支払わなかった場合には訴訟や強制執行を行うといった対応を行うことができます。また、合意書の内容によっては公序良俗に違反するとの主張がなされることがあります。高額に過ぎる違約金条項や違法不当な合意内容が含まれていると合意書全体の効力に及ぶ危険性がありますので、公序良俗に違反しない範囲で可能な限り有利で適法な合意書作成を行う上で弁護士を入れるメリットは大きいでしょう。分割支払いなどが必要な場合には、強制執行に備えて公正証書で作成するなどの対応もできるでしょう。
したがって、有効性が高く、こちらに有利な合意書を作成するために弁護士を依頼するメリットが多いいでしょう。
(4)弁護士が代理人として動くので対応ができる
弁護士は、法律上の紛争について訴訟、交渉の代理人として動くことができます。相手方が浮気、不倫の慰謝料請求を否定してきたとしても、訴訟に移行するなどして裁判所での権利実現のために動くことができる点で弁護士が代理人として動くことは大きなメリットとなります。弁護士が代理人として動くことで、精神的な負担となる交渉などの困難な作業を任せることができ、ご本人にとっての精神的な負担を大きく下げることができるでしょう。
したがって、ご本人にとって法律の専門家である弁護士に依頼することで、精神的負担を大きく下げることができるという点で大きなメリットがあります。
(5)民事訴訟対応を行う
弁護士は訴訟の代理人として対応を行うことができます。民事訴訟は、訴状の作成、訴えの提起、口頭弁論、弁論準備手続などの期日対応、和解期日、尋問期日の対応など様々な対応が必要となりますので、弁護士を入れるべきメリットが大きいこととなります。また、民事裁判は、和解ないし判決によって法的紛争について終局的な解決を図っていくことができる制度です。弁護士を依頼し、裁判を行うことで、浮気、不倫に対して裁判所の判断が行われ、終局的な解決を行うことができるでしょう。
したがって、裁判をして終局的な解決を行うことができる点で、弁護士を依頼できる大きなメリットがあるでしょう。
4 弁護士を選ぶうえでどのような点に注意をすべきか
では、弁護士を選ぶうえではどのような点に注意をすべきでしょうか。
(1)相談時に一定の見解、金額をしっかりと示してくれる
弁護士が受ける法律紛争は、多種多様なものがあり、一度に法律上の見解や費用の見積もりを行うことは難しいものです。一方で依頼者の方にとってはどのような見解がありえるのか、弁護士費用がどれだけかかるのかは大きな不安があるものです。
依頼者のために、現段階ではどの点で判断ができないのか、どの点でこのような判断ができるのか、あるいは現段階では判断ができないことを誠実に示してくれる弁護士は信頼ができる可能性が高いでしょう。また、依頼者のために、現在なにが足りていないのか、相談時に金額でどれほどかかるのかの示してくれること、どのような場合には追加着手金が発生するのかなどを示してくれる弁護士は依頼者のためを思って行動していることと考えられ、信頼できる弁護士ということができるでしょう。
(2)不利な案件については不利であると伝えてくれる弁護士
この案件では請求が難しいとの話をきちんとしてくれる弁護士も信頼ができる方が多いでしょう。弁護士が事情の聞き取りを行い、この案件では権利の実現が難しい、この依頼を受けることは依頼者にとって経済的に利益がないといった場合には弁護士がデメリットも伝えてくれることがあります。一見、請求できないとの話をしてくると頼りない、自分の権利を実現してくれないと思われる側面がありますが、冷静な専門家の視点から法律事務所の売上よりも依頼者の利益にならないときちんと伝えてくれることは一定の信頼ができる弁護士ということができるでしょう。
(3)浮気、不倫事件について担当弁護士の実績がある
弁護士は、様々な案件を受けることができ、事件数としては取り扱いが少ないとの実情があります。弁護士はそれぞれの経験を積み案件に取り組んでいるため、担当の弁護士が浮気、不倫の案件についてどれだけ経験を有しているのか、どのような見通しを持っているのかを聞いていくとよいでしょう。
また、好ましくはありませんが、法律事務所によっては事務局任せとしている事務所もありえます。弁護士は非常に忙しいために事務局の協力も得て事件を進めていくこととなります。もっとも、常に事務局のみが対応している場合には、やや事務員任せにするなど不安な事務所である可能性があります。できるだけ、担当弁護士と直接面談をして事件を進めていけるのか相談をしたり、協議をしたりすることができるのかを確認しておきましょう。
(4)最後は相談して信頼関係を築くことができるかどうか
法的紛争については、長期間の時間がかかりるため、最後は人として信頼をできるのかどうかという点となります。
弁護士はリーガルサービスとしてサービス業としての側面がある一方で、司法権の一端を担っていることから、法律専門家の立場から冷静に分析、助言を受け、そのような要望は受けられないと伝えられることもあるでしょう。ある意味で依頼者にとって不利な部分についてもきちんと話をしてくれるかどうかも信頼できるかの観点では判断要素となるでしょう。
また、多くの弁護士は多忙であり、心理カウンセラーではないためにカウンセリングを行うわけでもありません。法律事務についてどのように進めるべきなのかに時間をかけてくれているか、依頼者の正当な権利を実現するために、どのような事件対応を行うべきかを検討し法律事務を行っていくには一定の時間がかかります。きちんと書面作成や証拠の確認に時間をかけてくれているのかを確認することで、信頼関係を築くことができるのかを判断していくとよいでしょう。
(5)法律事務所の規模はあまり関係しない
法律事務所の弁護士が信頼できるかは事務所の規模などにはあまり関係しないことが多いでしょう。大規模、小規模の事務所規模にかかわらず、多くの経験、知見を有し、依頼者の方への丁寧で冷静な対応から尊敬ができる弁護士も数多くいます。弁護士は、専門技術をもつ職人的な気質があるためにホームページや広告をしていない弁護士も素晴らしい弁護活動を行っていることが多くあります。弁護士に実際にあってみて信頼できるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
(6)完全成功報酬制には注意をしておく
完全成功報酬制については、初期費用を抑えることができる一方で、最終的な受取金額が大きく下がってしまうおそれがあります。これはビジネスモデルとして回収できない案件を他の案件の収入にて補う構造となってしまうために、やむを得ない部分がありますが注意が必要です。総額にてかかる金額などに注意をしておきましょう。
5 まとめ
浮気、不倫の慰謝料請求については、ご本人でも行うことは可能ですが、大きなリスクが存在します。弁護士に不貞行為に基づく慰謝料請求を行うことで大きなメリットが存在します。浮気・不倫の慰謝料請求を個人で行うよりも、弁護士に証拠を確認し、依頼をして任意交渉、裁判を行っていくこと早期に有利な解決を図っていくことができることとなるでしょう。そこで、浮気・不倫の慰謝料請求をなされたい場合には、お早めに、弁護士に相談、依頼をしていきましょう。天王寺総合法律事務所では、浮気・不倫事件について数多くの事件に取り組んだ弁護士が所属しておりますので、慰謝料事件でのご依頼をされたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。